池田 学 教授「認知症を社会で支えるには」の講演を取材してきました

2011.11.08
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こんにちは、
立冬を迎えたはずなのに暑い11月の熊本・・・日が落ちるのだけは早くなりましたね。
気温差が激しいので風邪など引かれていませんか?

迫田は今日も元気です!皆さまはいかがお過ごしでしょうか?

 

さて、先日イベント情報でも告知しておりましたが、10月28日に熊本ホテルキャッスルのキャッスルホールにて行われました、九州弁護士会連合会 弟64回定期大会 シンポジウム

「高齢者の医療、介護と成年後見人制度の現状と課題〜高齢社会における弁護士の役割〜」

に参加して参りました。


介護ナビくまもと支援企業さまでもありコラムを掲載して頂いております 弁護士 田中ひろし先生もシンポジウムスタッフとして参加されていらっしゃいました。

大変貴重なシンポジウムに参加する事ができましたので、内容に分けレポートをお届けしたいと思います。
まず始めは基調講演の様子からお届け致します。


基調講演は介護業界を始め全国的に有名な
熊本大学大学院生命科学研究部脳機能病態学分野(神経精神科)
教授 池田 学 先生の講演です。

 

池田 学 先生 基調講演 「認知症を社会で支えるには」というテーマでした。

 

池田 学 先生のプロフィールを簡単にご紹介させて頂きます。

1984年 東京大学理学部卒業
1988年 大阪大学医学部卒業
1993年 大阪大学大学院医学研究科(精神医学)にて博士号取得
1994年 兵庫県立高齢者脳機能研究センター研究員兼医長
1996年 愛媛大学医学部精神科神経科助手
2000年 ケンブリッジ大学精神科に国外留学、認知症性疾患の神経心理学研究に従事
2002年 愛媛大学医学部神経精神医学講座助教授
2007年 熊本大学大学院生命科学研究部脳機能病態学分野(神経精神科)教授

熊本県では、県全域の若年性認知症の実態調査、高次脳機能障害館じゃの支援ネットワーク構築、うつ病と自殺予防介入プロジェクト、認知症疾患医療センター(熊本モデル)による認知症診療ネットワーク構築などに着手しています。
2009年からは厚生労働省「かかりつけ医の為の認知症鑑別診断と疾患別治療にかんする研究」の研究班長としても活動中だそうです。

(所属学会)
・日本老年精神医学会
・日本神経心理学会
・日本高次脳機能学会
・World Federation of Neurology: Research Group of Aphasia and Cognitive Disorders
・日本神経精神医学会
・日本精神神経学会
・日本認知症学会
・日本認知症ケア学会

 

簡単に紹介させて頂いたつもりなのに・・・。
こんなに沢山の経歴が!!

 

さて、それでは気になる池田学 教授の講演内容です。

「認知症を社会で支えるには」

皆さまご存知の様に、今や日本は超高齢社会です。
その中でも、日本の高齢化には特徴があり、世界の高齢化がゆっくり進んでいるのに対し、日本の高齢化は一気に進んだそうで、そこで一気に社会のひずみが生まれたそうです。

現在、全国の認知症の方は200万人と言われているそうですが、実際には軽度の方も含め350万人以上いるのではないか?との見解もあるそうです。

若者はどんどん減っている中、右肩上がりに増える高齢者の方々、
今や85歳以上の3人に1人は認知症の方々だそうで、もはや珍しいものではないそうです。

さて、ここで池田教授が良く受ける質問を。

・認知症は病気なの?
・認知症は予防できるの?
・認知症はなおりますか?

この3点の疑問を解決して行きましょうと池田教授、
講演も堅苦しくない雰囲気の中進行していきました。

 


池田教授は、皆さまの認知症に対しての認識に温度差やズレがあるので、共通の認識をして頂きたいとおっしゃっておりました。

 

 

池田教授のもとには様々な方が来られるそうですが、そのうちの20%くらいは実際に認知症の方ではないそうです。

具体的には、認知症と高齢や正常老化による物忘れとは大きな違いがあるそうで、「自覚」があるかないかというポイントが重要だそうです。
認知症は「自覚」がない場合や病気によって生じる症状が多いとのこと。
「自覚」がある場合は、高齢や正常老化によるものが殆どとのこと。

物忘れの種類をみても認知症は「体験そのものを忘れる」そうです。
「体験の一部を忘れる」場合は高齢や正常老化によるものが多いそうです。

 

認知症と一言で言ってもその症状や原因は様々だそうで、

・せん妄(意識障害・・・気を失うのではなく記憶がうつろうつろになったりと、泥酔の様な脳の状態に近いそうです。)

・慢性硬膜下血腫(脳梗塞の後遺症などで脳が圧迫されて伴う認知症)

・アルツハイマー(最も多い認知症の症状で、初期は近時記憶障害という新しい出来事から忘れる症状だそうです。悪化すると50%程の割合で妄想などの症状がでるそうです。)

・自発性の低下(物忘れなどアルツハイマーの様な症状はなく、ヘルパーさんや家族の方がいれば家事でも何でもできるそうです。)

 

など、上記に上げた以外にも認知症の種類は様々で、更に増加しているそうですが、
治療により予防や治る認知症も増えているそうです。

 

・せん妄・・・抗不安薬やステロイドなどの薬によって引き起こされることがあるそうです。新しい医者を受診する際は、紹介状をもってかかりつけ医との連携をもち、服薬の管理をする事で予防出来るそうです。

・慢性硬膜下血腫・・・脳が圧迫されているので、早期に血の固まりを除去する事で嘘の様に治る事もあるそうです。

・アルツハイマー・・・症状を改善したり進行を遅らせるお薬はあるそうですが病気の進行を完全に止めてしまう治療法は現段階ではないとのこと。ただ、最近の研究では発症の20年前からアルツハイマーの原因ともなっている老人班と言う物が出来るという事が分かっているらしく、もしかしたら今後は治せる病気になる事も期待出来るそうです。

・自発性の低下・・・気づきにくい認知症の症状ではあるらしいのですが、早期発見で治療出来るそうです。

 

重要な事はやはり「早期発見・早期治療」ですね!!
少しでも「おかしいな?」と思ったら、早めにかかりつけ医や専門家を受診する事が大切とのことです。

 

 

最後に、池田教授は良く受ける質問を会場の皆さまに再度質問していらっしゃいました。

池田教授

・認知症は病気でしょうか?
・認知症は予防できると思いますか?
・認知症は治るとおもいますか?

—上記の3つの質問に対し会場の皆さま全員挙手で回答—

 

池田教授「よかった、どうやら帰る事が出来そうです。(笑)」

 

会場のからも笑いが起こり、池田教授の基調講演は終了しました。

池田教授並びに九州弁護士会連合会の方々、貴重な講演会の機会を頂き、ありがとうございました。

 

 

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